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円形脱毛症

円形脱毛症は見た目ではっきりとわかる直径数cm程度の脱毛が出現します。発症するメカニズムはまだ完全に分かっていませんが、髪の毛を作り育てる過程で重要な役目を果たす毛の根本 (毛包)に対する「自己免疫疾患」と考えられています。自己免疫疾患であり、通常はウイルスや細菌など外からの異物と戦う免疫細胞が、誤って自分の毛の根本(毛包)を攻撃してしまい毛包が破壊されて脱毛をきたしてしまいます。しかし、なぜ免疫細胞が急に自分の毛包を攻撃してしまうのかは理由は分かっていません。円形脱毛症はストレスが関係すると世間ではよく言われていますが、実際なぜ発症するのかはっきりとしていません。
円形脱毛症は男女ともにあらゆる年代で発症しますが、特に若い年代に発症することが多く、円形脱毛症の約70%の方は30歳以下で起こるといわれています。円形脱毛症の患者さんの約8%に家族内発症があり、患者との関係が近いほど発症率が高い傾向があるとの報告もあります。一卵性双生児での円形脱毛症の一致率は55%と言われており、遺伝子的な背景も関係していると推測されています。
また、円形脱毛症の合併症としてアトピー性皮膚炎が高頻度に合併することが知られています。その他に、橋本病、尋常性白斑、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ、I 型糖尿病あるいは重症筋無力症などの自己免疫性疾患も合併しやすいです。

【円形脱毛症の種類】

円形脱毛症と聞くと「コイン状」に一部分が抜けるイメージをお持ちの方が多いかもしれません。しかし、実際は色々な種類があり、以下の5種類に分類されます。

単発型:

円形脱毛症の中で最も多いタイプです。単発型は、丸いコイン状や、楕円形の脱毛が一つだけ発生します。症状が進行すると数が増えて多発型になる場合があります。サイズや発症する箇所は人によって異なります。

多発型:

丸いコイン状や、楕円形の脱毛が複数発生するタイプです。初期から複数の脱毛が認められる場合と、単発型が進行して多発型に移行する場合があります。

全頭型:

脱毛が広範囲に広がり、頭髪のほとんどが脱落するタイプです。なかなか治らない場合もあり、治療が長期間におよぶ場合もあります。

汎発(はんぱつ)型:

頭髪だけではなく、まゆげやまつげ、腕やスネなどの毛が抜け落ちるタイプです。全身型は、円形脱毛症の中では最も重度なタイプと考えられています。

蛇行(だこう)型:

側頭部から後頭部の生え際にかけて、帯状に細長く脱毛するタイプです。治療期間は数年にわたるケースがあり、治療が難しいタイプになります。

【円形脱毛症の診断方法】

毛髪が抜けるという症状だけでは、円形脱毛症であると診断できません。円形の脱毛ができる病気は円形脱毛症以外にも多数あります。

例えば、膠原病(全身性エリテマトーデス)、梅毒、甲状腺機能異常、トリコチロマニア(抜毛癖)、休止期性脱毛、男性型脱毛(AGA)、女性型脱毛、頭部白癬(しらくも)など多数あります。

円形脱毛症の診断は、脱毛の症状だけでなく、患者さんの病歴や家族歴、合併症などを踏まえ、抜け毛の抜けやすさを判断するPull test、毛や毛穴の状態を拡大して観察するトリコスコピーを中心に、必要であれば採血検査なども行い他の疾患を除外して診断していきます。そのため、円形脱毛症の適切な診断・治療は皮膚科専門医でないと困難です。

【円形脱毛症の治療】

確実に効くという治療がないのが現状ですが、複数の治療法を組み合わせることで治りを早くすることは可能です。

・ステロイドの塗り薬

・紫外線療法(週1回程度の通院)

・ステロイドの頭皮への局所注射(月1回程度)

・ミノキシジル外用(保険適応外)

これらが現時点で効果の高い方法であり、まず行う治療となります。どの方法でも確実に髪の毛が生える、というほどの劇的な効果がすぐに見られるわけではありません。1~2ヶ月は治療効果を得るにはかかることが多いです。複数の治療法を組み合わせることで効果に個人差はあるもののある程度の効果が得られることが多いので、円形脱毛症を疑った場合には当院にご相談ください。

なお、重症な場合は、以下のような対応となります。

抜け毛が急速に進行する重症の場合(成人で6か月以内の発症に限る)

急速に進行する重症の場合はステロイドパルス療法(点滴療法)を行う場合もあります。ステロイドパルス療法は数日間の入院が必要ですので、加賀市医療センターなど近隣の総合病院へご紹介します。

慢性期の重症の場合(発症して6か月程度経過した場合)

近年はJAK阻害薬という免疫抑制剤の内服治療を慢性期の重症難治性の円形脱毛症で行います。現在、オルミエント(JAK1/2阻害薬)とリットフーロ(JAK3/TEC阻害薬)が保険診療で使うことが可能ですが、クリニックでJAK阻害薬を用いて円形脱毛症の治療を行っている施設は限られております。加賀いけだ皮膚科では円形脱毛症に対してJAK阻害薬での治療が可能ですので、お気軽にご相談ください。なお、JAK阻害薬は導入の際に肝炎のウイルス検査・結核のスクリーニングなどの採血検査が必要となります。また、胸部のレントゲン撮影等も必要となりますので加賀市医療センター等と連携し導入することとなります。

当院では、皮膚科専門医による診断と治療を受けることが可能です。ステロイド外用療法やステロイド局所注射、紫外線療法をはじめとして、重症例にはJAK阻害薬の導入まで積極的に円形脱毛症の治療を行っております。円形脱毛症でお困りの方はご相談ください。

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