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ヘルペス(単純疱疹)

ヘルペスとは単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus : HSV)というウイルスが原因となって、口の周りや陰部などの患部が腫れて小さな水ぶくれが多発しキズ(潰瘍)や痛みを伴うことがある病気です。口の周りにできると「口唇ヘルペス」といい、陰部にできると「性器ヘルペス」といいます。単純ヘルペスは単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)と単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)が存在し口唇ヘルペスは主にHSV-1が関与し性器ヘルペスは主にHSV-2が関係します。

ほとんどの大人の方は、口の近くの神経節に単純ヘルペスウイルスが潜伏しています。寝不足、疲労、風邪などによって免疫力が下がるとウイルスが増殖し、口唇ヘルペスが再発します。

性器ヘルペスは、寝不足、疲労、風邪などが誘因になる他に、月経や性行為なども誘因になりやすいことが知られています。性器ヘルペスでは、再発部位は同じ場所が多いですが、臀部など別の場所に再発することも知られています(臀部ヘルペス)。また、性器ヘルペスでは痛みや水ぶくれなどの症状がない状態でもウイルスのみ性器に排出される無症候排泄が存在します。無症候性排泄は本人の自覚症状がないためパートナーへの感染の危険があります。実際に、パートナーへの感染の69%はウイルスの無症候性排泄時に起きていることが分かっています。

口唇や陰部以外には爪の周りにできるヘルペス性ひょう疽(ひょうそ)、アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚の荒れた部分にヘルペスが広がるカポジ水痘様発疹症も単純ヘルペスウイルスが原因となって起こります。カポジ水痘様発疹症はアトピー性皮膚炎の症状が悪化しているときに発症しやすく、症状によっては入院が必要です。このため、アトピー性皮膚炎の治療も皮膚科専門医による定期的な治療を受けていく必要があります。

ヘルペス(単純疱疹)の症状

口唇ヘルペスと性器ヘルペスの両方とも初期症状として、かゆみやピリピリ感、灼熱感(しゃくねつかん)といった違和感が前兆として現れることが多いです。その1〜2日後に小さな水ぶくれや赤い斑点が出現します。しだいに水ぶくれが破裂して潰瘍(キズ)になります。全体を通して約1週間でかさぶたとなって自然にはがれ落ちます。

性器ヘルペスの初感染初発(HSVに初めて感染して発症するタイプ)のケースでは、先ほどお伝えした症状以外にも色々な症状が伴うことがあります。例えば排尿時の痛み、排尿障害、リンパ節の腫れ(特に鼠径部)、発熱や倦怠感などの症状が出ることが知られています。

性器ヘルペスの症状は個人差が大きく、すべての患者さんに同じ症状が現れるわけではありません。大事なことは、症状に気づいたら、早めに皮膚科専門医に相談することです。

ヘルペス(単純疱疹)の診断方法

ツァンクテスト(顕微鏡による検査)やデルマクイックHSVという迅速検査キットを用いて診断を行います。あるいは皮膚症状の経過などから典型的な場合には、検査を行わずにヘルペス(単純疱疹)と診断し治療を行います。また、最近は梅毒の患者さんが急激に増加しており一見すると梅毒とヘルペスの見分けが難しい場合やヘルペスと梅毒を合併しているケースもありますので、必要に応じて梅毒を除外するために梅毒の抗体検査(採血検査)も行う場合があります。

ヘルペス(単純疱疹)の治療

バルトレックス(バラシクロビル)やファムビル(ファムシクロビル)という抗ウイルス薬の飲み薬で治療を行います。これらの薬はウイルスの増殖を抑え、5日間飲むことで治療が完結します。水ぶくれが乾いてかさぶたになって治ります。市販薬でも抗ウイルス薬の塗り薬が購入できますが、治療効果の高い飲み薬の治療をお勧めします。

飲み薬の治療でも神経の中に潜むヘルペスウイルスは体の中から追い出すことはできないので、潜んでいるヘルペスウイルスはまた再発します。ピリピリする、チクチクするといった神経の違和感や、かゆみを感じたら早めに皮膚科専門医の診察を受けましょう。症状が出始めてから飲み薬の治療を開始するまでが早ければ早いほど治りが早くなります。皮膚症状が出てから飲み薬を5日間服用する従来の治療では、症状が発症してから24時間以内に内服を開始しないと十分な効果が得られないとの報告があります。

PIT(Patient Initiated Therapy)療法という治療方法もあります。何度も再発しているヘルペスの方には、ヘルペスの初期症状が現れ次第、ご自身の判断で内服を開始する治療方法のことです。

<具体的な流れ>
症状が出る前に受診
    ↓
医師が次回の薬の必要性を判断して抗ウイルス薬を処方
    ↓
再発時初期症状が現れた際に患者さんが自身の判断で内服

<PIT(PIT療法)の処方薬>
ファムビル
→年間3回以上再発する場合に処方可能
→1回1000㎎を2回内服(12時間間隔)

アメナリーフ
→年間の再発回数の制限がなく処方可能
→1回1200㎎を1回内服

※PIT療法ではファムビルもアメナリーフもジェネリックによる処方はできません。

なお、性器ヘルペスでは年間6回以上再発する場合に、再発抑制療法といってバルトレックス(バラシクロビル)を毎日1錠飲んで再発しないようにする方法もあります。再発抑制療法は、再発率の低下やウイルスの無症候性排泄の頻度の低下、パートナーへの感染の危険性の低下が大規模臨床試験で証明されています。

当院ではヘルペス(単純疱疹)を含めて性感染症の治療を得意としている皮膚科専門医が治療を行っていますので、ヘルペス(単純疱疹)にお悩みの際には当院へご相談ください。

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